
大きな看板を捨て塗装業で独立。ホームセンターと名乗る理由は?
今回は生まれながらに塗装業を営む一家に産まれながらに、”自分らしさ”を求めて飛び出したある男性の物語。学生時代から裏方に立つ事が多かった人生だったが、自ら全面に立つ事を決意しチャレンジする。
現状を変えるのはいつでも大変な事だが、小さな事から積み重ねれば、チャレンジできる人生に変えられる事を教えてくれた。
スワシタユウイチって?
- 1986年生まれ
- 福岡県出身

(今回は照れ屋の為、顔写真は無し!)
幼い頃から憧れた祖父の背中

幼い頃から生活の周りには、いつも職人道具が当たり前にあった。おじいちゃんの手伝いとして、倉庫の片付けなどについて回る事も多かった。
心許ない命綱一本で、鉄橋などの高い所へ登る”職人さんの写真”を見る事が楽しみだった少年には少々残念な出来事がある。
産まれたそこは、マンガ顔負けのスポコン一家だった。
生まれつき体の強い”父と兄”の影響もあり、野球は高校生まで続けたが、強豪校にありながらスワシタさんの体は小さかった。3年間の努力は儚く、チームが出場した”最後の夏の甲子園”のグラウンドに立つことはなかったが、裏方がいなければチームが回らない事を経験する。
福岡県から熊本の大学へ進学し、卒業後は当時社長を務めていた祖父に頭を下げ、実家の株式会社スワシタへ入社。祖父の代から続く”スワシタ”は、県内外の公共塗装工事を請け負い、福岡県では有数の塗装会社である。
会社には父や兄も在籍した他、多くの職人さんを抱え、1番下から塗装の全てを学ぶこととなる。
公共インフラ整備とは?
普段日常から何気なく使う公共インフラと呼ばれる道路や橋は、考えてみれば当たり前だが、誰かの手で修復され、安全に使える状態が保たれている。知らない所で身近な人の技術が、私達の”便利”に繋がっている事を知ると、普段の日常も少し見え方が変わるかもしれない。
“どんなモノを塗りますか?“
「公共インフラは大きいから勿論沢山の職人さんの中に”参加”という形にはなるけれど、みんなが知ってるモノで言えば、本州と九州に架かる関門海峡とか…」

関門海峡の最狭部である下関市壇之浦と北九州市門司区門司(和布刈地区)を結ぶ海上橋で、1973年(昭和48年)11月14日に開通[1]。橋長1,068メートル (m) 、最大支間長712 mは、若戸大橋(橋長627 m、最大支間長367 m)をしのぎ、開通時点では日本および東洋最長の吊橋となった
「他には若戸大橋、壱岐の郷ノ浦大橋、対馬の万関橋、旧スペースワールドの観覧車、北九州都市高速道路とか」

2000年3月、スペースワールド開業10周年記念イベントの目玉となる巨大観覧車「スペース・アイ」が運転を始め、人気を集めた。太陽をイメージした赤をベースにした観覧車は高さ約100メートル、直径約80メートルで、九州では2番目の大きさを誇った。
【スペワの思い出】(3)太陽イメージの大観覧車|【西日本新聞ニュース】
「大した仕事はしていない」と話すスワシタさん。けれど、公共工事について考えた事もなかった筆者にとっては、アレもコレも驚きだった。
離れてから気づく。大きな看板の持つ”信頼力”
「ナフコとかグッディみたいなホームセンターが大好きで、いずれ自分の好きなモノを置いたお店がしてみたい!」
社会人として”塗装業”一本で、着実に実績や経験、公共工事ならではの信頼を積み重ねる一方で、実は興味がある事があった。
会社での通常業務の傍ら、休日には家具などの作品制作に取り組む日々を過ごす。次第に本業の塗装業と、大好きなプロダクションを掛け合わせた”自分らしさ”を求め、2019年ついに”裏方”から自分自身が全面に立つ事を決意する。
会社という後ろ盾のない不安
しかし独立後は自分のネームバリューの無さを痛感する。当たり前にあった仕事は、祖父の代から積み重ねてきた信頼の証。簡単に仕事を取ったり、回して貰える訳ではなかった。
安定のない塗装業では、仕事と仕事の間に隙間が空いてしまう事もある。そんな時を気遣ってか「仕事を回してくれる”実家”には足を向けて寝られない」とちょっと照れ臭そうだったのが印象的だった。
スワシタユウイチ個人として着実に信頼を重ねる事が、この先の相乗効果を産むのかもしれない。
HCU(Home Center U)と名乗る訳は?
2019年、実家とは袂を分かつ。独立後、設立したのが”HCU(Home Center U)である。
では何故、塗装業でありながらホームセンターを名乗るのか?スワシタさんに伺った。
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「勿論仕事の中心には関係各所と行う公共工事が1番。しかし自分でやるとなった時、創作活動にも力を注ぎ、いずれホームセンターに発展していければ」と、この先の大きな夢も込めて、ホームセンターと名乗る事を決めた。
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他にも、仕事に余裕がある時期には知り合いから、自宅の外壁塗装を頼まれる事もあるのだとか。
長年の培ってきた塗装の技術と、熱意を燃やす創作品たちの融合のその先が、一体どういった形になるのか?長年、塗装一筋だった一家から飛び出したスワシタさんの新しい戦いは始まったばかりだ。
“最後に何かありますか?“
「普通の30代なんてこんなもんよ?!燻ってる人も安心するやろ?」と笑わせてくれた。
しかし最後は「あっ、求人はできる?人が足りないから。大変だけど、一緒に働きたい人がいれば是非!」との事。”こんなもんよ!”と言いながら、ちゃっかり事業規模の拡大を狙っている辺り、HCUの今後が楽しみだ!
※個人からの問い合わせ先は、HCUインスタグラムDMのみ。記事内インスタグラムリンクから飛べます!